ウインドサーファー艇の兄弟ボード「ロケット99」

『ロケット99』は、ウインドサーファー艇の兄弟ボードとして生まれた。形は「初代ウインドサーファー艇」と似ているが、全長は285cm(80cmも短く)となっている。ロケットという名の通り、ズドーンと「飛べる」ボードとしてデザインされたのだろう。ボードのセンターには、ダガーの代わりに長めのフィンが取り付けられるようになっている。ワイズとボリュームがテイル寄りにあるので、異常なほどにストラップに足を入れやすく、スピードが出ていなくてもストラップを使える。

セイルに風を入れると、スピードは徐々に上がっていく。今のボードのようにプレーニング時とそうでないときとの境目がはっきりとはしていない。だから微風でも強風でも、それなりに加速を楽しむことができる。

レイルジャイブなどのターンでは、アウトラインが独特なのである種のクセは感じるものの、後ろ寄りを使ってやれば、それなりにできる。ジャンプは、高さを出すのはいくつかの条件が整わないと難しいが、飛ぶだけなら意外なほど普通に飛べた。

当時は前衛的・革新的なボードとして捉えられたに違いない。コンパクトで、跳ぶのもラクだとエキスパートたちが歓喜したのかもしれない。なにせそれまではサーファー艇で何もかも(ジャンプも波乗りも)やっていたからだ。

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ウインドサーフィンの歴史とグライダー

ウインドサーフィンは1967年、アメリカのカリフォルニアで誕生した。人が多いサーフィンにストレスを感じていたサーファーのホイル・シュワイツアーと一人でも気楽にセイリングを楽しみたいヨットマンのジム・ドレイクの二人のアイディアからウインドの形は作られた。

長さ365cm・幅66cmのグライダー(かなり大きいボード)にセイル(帆)をつけてバランスよく走れるようにしたものが最初の形。「初代ウインドサーファー艇」である。「初代ウインドサーファー艇」はグライド感を楽しむために生まれたものである。※写真一番左の形のもの

そもそもサーフィンでいうグライダーとは、かなり贅沢なコンディションで使用するもの。穏やかなスロープが続くビーチブレイクでトリムやグライドを楽しむものだ。

「グライドとは?」という疑問が出てくるが、言葉で表現するのは難しい。「滑るように動く」「なめらかに走っていく」といった表現が近いのかもしれない。

現在ウインドサーフィンの主流はショートボードになりつつあるが、ルーツを辿るとグライダーがもとなのだ。スピードを出したり、テクニックを決めたりするのではなく、のんびり優雅にグライド感を楽しむ。今現在忘れられている楽しみ方の一つではないだろうか。

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